このウエアハウス秘蔵の小さなパンツは、営業マン用のセールスマンサンプルではない。大人用モデルのミニチュアとして製作されたもので、“ First Pair of Pants”と呼ばれるものだ。これは、主に出産祝いとして贈るためのもので、「生まれて一年後に脚を通せるように、健康に育つことを祈る」といった願いを込めた縁起物として販売されていた。
グリーンバウム・ブラザーズというブランドは、ワークウエア黎明期にアメリカ西海岸で創業。1849年、西部での金鉱発見に端を発したゴールドラッシュが発端となり、グリーンバウム兄弟も西海岸を目指したが、彼らは採掘者ではなく、慎重に承認としてのキャリアを続けることを決意。衣料品だけでなく、乾物や家具、毛布、タオルなど事業を拡大していった。
彼らが手がけたワークウエアは、リーバイスの5ポケットパンツとは似て非なるものを作っていたことで知られている。リーバイスがリベット補強の特許を取得した1873年の僅か1年後、グリーンバウム・ブラザーズは革によって外装(バウンド)する特許を取得。彼らはサージ・ド・ニームのようなヨーロッパから来る資材を入手し、東海岸でそれを縫製し、船と鉄道を駆使してサンフランシスコまで届けていたようだ。それゆえに、当時の西海岸に存在したライバルメーカーとは、デニムから縫製に至るまで全てが異なる独自の仕様だったのだ。コインポケットがなく、フロントポケットの出し入れがしやすく設計されていることも特徴的。そんな歴史的なワークウエアが完全再現された。
当時はワークウエアとして主流だったプルオーバー型は、そのパターンも直線的なものであり、このグリーンバウムの生地との相性も抜群だった。オールシングル(本縫い)で仕上げられ、脇マチとして補強に使用されたレザー、背広の袖裏のようなストライプ生地がポケットの袋布に使用されるなど特徴的なディテールが満載だ。19世紀終わり頃の鉱山労働者の写真でよく見ることができるプルオーバータイプのジャンパーである
PRICE:34,000円+tax
SIZE:36,38,40,42
デニムジャケットの起源といっても過言ではないショートタイプのブラウス。直線で縫製された肩のラインは袖山がゼロの状態で、その分着用することで自然に肩が落ち、脇下に生地が蛇腹のようにたまるため、脇周りに特徴的なヒゲが生まれる。また、左右対称に配されたポケットも、この時代のワークウエアとしては珍しい。穴かがりボタンが付く前立ての仕様は、身頃のネムリ穴がタテ、帯部分のみがヨコに開けられているのも特徴だ。プルオーバー同様、グリーンバウムのテキスタイルとシルエットが絶妙にマッチしており、独特のドレープ感を味わえる
PRICE:42,000円+tax
SIZE:36,38,40,42
グリーンバウムを代表するウエストオーバーオールが、この3ポケットタイプのモデル。1874年にパテントを取得したリベット箇所を革で補強する仕様をはじめと、コインポケットがないフロントポケットの立体的なL字形状も特徴的だ。テキスタイルは、おそらくフランスからニューヨークに輸入されたもの。同ブランドを象徴する、1874年に特許を取得した革による補強も健在だ。この革で補強された箇所は、150年近く経った現在でも、ほとんど損傷がないことから、その強度はかなり信頼できるものであったと考えられる。当時の消費者は、おそらく購入時にリベットによる補強とこれを比較していたことだろう
PRICE:39,000円+tax
SIZE:28,29,30,31,32,33,34,36,38
こちらは、基本的な仕様は3つポケットのウエストオーバーオールと同じだが、ベルトループと左バックポケットを追加したモデル。150年前の武骨なワークウエアらしさを踏襲しながら、現代のファッションシーンでも穿きやすいのが魅力の1本だ
PRICE:41,000円+tax
SIZE:28,29,30,31,32,33,34,36,38