デニムの特徴のひとつであるエイジング。着用した人の身体に沿って表現される色落ちに自身の歴史を回顧し、愛着を感じるもの。「ジーンズを育てる」といった表現もエイジングを視野に入れたデニムの楽しみ方のひとつ。そもそも“美しい色落ち”とは、ヴィンテージデニムの総合評価として生まれた概念。それがファッションアイテムであるジーンズの魅力として認識されるようになった。そこでヴィンテージジーンズのような加工を手がけることになるが、再現することは容易ではなかった。本物の経年変化を表現することは不可能なのか。トライ・アンド・エラーを繰り返しウエアハウスが手掛けるセコハンシリーズは、いかにも、長く穿き続けてきたかのようなリアルな色落ちを再現することに成功。不可能を可能にした世界最高峰の仕上がりを見せる色落ちデニムシリーズだ。そのプロダクトの裏には、ウエアハウスが時間をかけて所有する膨大な量のヴィンテージアーカイブを徹底的に考察し、最先端技術と匠の技を融合させることで生まれた。完璧なヴィンテージジーンズを再現したいという創業時以来、継承されるスピリッツは困難とされた加工デニムにおいても本領を発揮している。
プログラミングされた精密なエイジングのデータを最先端技術であるレーザー加工処理で行われる。レーザーは濃く染まったインディゴに反応して、通過箇所のインディゴのみが抜けていく。データはフロント左右、バック左右の4パターン。それぞれ異なる色落ちデータが仕込まれている。ヒゲを中心とした、ある程度の濃淡の表現はこの時点で形成される。
ベースとなる色落ちは、レーザー加工によって仕上がったが、白く色落ちした部分を中心に、全体的にサンドペーパーを掛けることで白く不自然な色落ちを馴染ませることができる。また、サイドシームやポケット口、裾など細かな箇所の色落ちは、ハンドワークによるシェービング加工が施される。専用の電動ヤスリを使用し、穿いたジーンズの色落ちイメージしながら、丁寧に1本ずつ、よりリアルさを増すように仕上げられる
エアに乗せて、高速で砂を吹き付けるサンドブラスト加工。極小の砂の粒子によって、人工的に作り上げた色落ちにグラデーションが生まれ、より自然なエイジングを演出してくれる。腿のサイド部分の絶妙なアタリ、そして全体的にヴィンテージの色落ちさながらの風合いへと馴染ませるための重要な工程のひとつ
加工工程としては最終段階となるウォッシュ加工。旧式のドラムの中に天然軽石とジーンズを一緒に洗いにかけることで、細かな箇所の色落ちも再現でき、全体的なジーンズの色落ちの風合いを馴染ませることもできる。さらにヴィンテージの風合いを演出するため、ブラウンの染料を混ぜ、洗いをかけることでジーンズが柔らかな色合いへと変化する
すべての加工を終えたら、さらに時間と手間を掛けて1本ずつ天日干しで自然乾燥によって仕上げられる。仕上がったセコハンシリーズのジーンズは、ヴィンテージ顔負けの風合い。タテ落ち、セルビッジのアタリ、ポケット周りなど、細部に渡り自然なエイジングが表現されている。アナログな手法と最先端の技術をハイブリッドさせることで、世界最高峰の加工デニムへと仕上がるのだ
’60年代のストレートジーンズをモチーフにしたセコハンシリーズを代表する1本。精密なレーザーやウォッシュ、緻密な手作業を駆使したリアルな色落ちが魅力。
ユニオンスペシャルのチェーンステッチミシンで縫製された裾。針の絶妙な挿入角度が美しいアタリに
ロープ染色のムラ糸を旧式織機(G3)で整織した生地は、表面の凹凸によりタテ落ちが現れる
手の出し入れをすることでポケットまわりにもダメージが現れる。細かなエイジングまで演出される
剥き出しとなっている生地の表面から経年変化が現れるもの。ベルトループも中心から色落ちを再現
サイドシーム部分に見られる濃淡のくっきりとしたセルビッジのアタリはヴィンテージデニムの象徴
ヒザの屈伸運動によって形成されるヒザ裏部分の色落ち。デニム用語では通称ハチノスとも言われる
バックポケットに付けられた飾りステッチは、穿いているうちに擦れて自然と解けていることが多い
巻き縫いされたバックヨークは生地と縫製糸の収縮により、パッカリングやアタリが強く表現される